第6章 ヨコハマ ギヤングスタア パラダヰス
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パララララララッ
銃の乱射が止み 谷崎の頬に血がパタタと飛沫した
ズルッと腰を落とす谷崎目の前に
兄を庇うように両の手を広げ敵に向けた背中が、
先程の銃撃を全て受け真っ赤に染まっていた
「兄様······大丈···夫?」
そう云い谷崎の方へ倒れるナオミ
「ナオミッ!!」
半狂乱になりナオミを呼び続ける谷崎
余りの光景に ぺたん と腰を抜かす敦
「ど、どどうしよう······し、止血帯!敦くん 止血帯持ッて無い?いや先ず傷口を洗ッて······違う。与謝野先生に診せなきゃあ······」
気が動転している谷崎を余所に弾を詰める樋口
「い、医務室まで運ばないと!敦くん足持ッて──」
「そこまでです」
ジャキ と谷崎の後頭部に銃を向ける
「貴方が戦闘要員でないことは調査済みです。健気な妹君の後を追っていただきましょうか」
「あ?」
振り返った谷崎の眼は鋭い
「チンピラ如きが──」
「!」
ユラめく殺気に怯む樋口
「ナオミを傷つけたね?」
ナオミッ抱え立ち上がる谷崎
「【細雪】」
「(雪······?この季節に?)」
突然降り始めた雪に戸惑う樋口
「敦くん」
谷崎に呼ばれはっとする敦
「奥に避難するンだ。こいつは──ボクが
殺す」
そう云い歯噛みする谷崎
「くっ」
瞬間、樋口が銃の乱射を再開する
ドドドドドドドドッ
しかしチュインと谷崎をすり抜けるだけの弾
何も外傷を与えず姿を消した谷崎
「!?」
"「ボクの【細雪】は──"雪の降る空間そのものをスクリーンに変える"」"
「なっ······どこだ!」
"「ボクの姿の上に背後の風景を『上書き』した。もうお前にボクは見えない」"
「しかし·······姿は見えずとも弾は中る筈っ!」
そう云い再び乱射を再開する
しかし
「大外れ」