第6章 ヨコハマ ギヤングスタア パラダヰス
── 武装探偵社 事務室 ──
ソファにちょこんと座るスーツを纏った女性
対応するのは谷崎
その後ろにずらっと並ぶ先程の顔触れ
「··········」
「······あの 」
「えーと 調査のご依頼だとか。それで······」
「美しい······」
サッと手を取る太宰
「睡蓮の花のごとき果敢なく そして可憐なお嬢さんだ」
「へっ!?」
「どうか私と 心中 していただけないだろ──」
スパーァァンッ
国木田と猗憐に殴られる太宰
『莫迦!どう見ても睡蓮じゃなくて浅黄水仙でしょ!』
「え、そこですか?」
的外れな事を云う猗憐に律儀に突っ込む敦
「なななな」
頭に?を浮かべる依頼人
「あ 済みません、忘れて下さい」
そして国木田に連れて行かれる太宰
依頼人はそれをチラっと見やり
「それで 依頼と云うのはですね、我が社のビルヂングの裏手に·····最近善からぬ輩が屯している様なんです」
あ、いただきます と紅茶を手に取る依頼人
(普通に再開した······変人慣れしてンのかな)
「善からぬ輩ッていうと?」
「分かりません。ですが 襤褸をまとって日陰を歩き、聞き慣れない異国語を話す者もいるとか」
「そいつは密輸業者だろう──」
『······はぁ』
暫く依頼人を見つめた後面倒臭そうに溜息を着き部屋を出る猗憐
(?どうしたんだろう猗憐さん······)
「小僧 お前が行け」
「へッ!?」
突然話を振られ驚き声を上げる敦
「ただ見張るだけだ。それに、密輸業者は無法者だが大抵は逃げ足だけが取り得の無害な連中──初仕事には丁度良い」
「でっ でも」
「谷崎一緒に行ってやれ」
「兄様が行くならナオミも随いて行きますわぁ」