第6章 ヨコハマ ギヤングスタア パラダヰス
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初仕事──カチコチと支度をする敦
「おい小僧」
そんな敦に国木田が声を掛ける
「不運かつ不幸なお前の短い人生に些かの同情が無いでもない。故に この街で生き残るコツを一つだけ教えてやる」
そう云い乍ら一枚の写真を取り出す
「こいつには遭うな。遭ったら逃げろ」
それに写るは黒を纏う一人の男
「この人は──?」
「マフィアだよ」
敦の問に横からひょっこり現れる太宰
「尤も 他に呼びようがないからそう呼んでるだけだけどね」
「港を縄張りにする兇悪なポートマフィアの狗だ。名は芥川。
マフィア自体が黒社会の暗部のさらに陰のような危険な連中だが、その男は探偵社でも手に負えん。」
「何故──危険なのですか?」
「そいつが«能力者»だからだ。殺戮に特化した頗る残忍な能力で軍警でも手に負えん。俺でも──奴と戦うのは御免だ」
『行ってらっしゃい敦くん!頑張ってねぇ!』
「は、はい!」
真っ赤になりつつ谷崎兄妹と社を出る敦
『············』
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敦達が出て行くとベッドフォンを装着しソファに寝そべる太宰
掃除をする国木田
窓辺で空を見上げる猗憐
ウィーーン
一人では〜心中は〜できない〜
二人では〜できる〜すごい〜
「オイ邪魔だ。除け」
♪〜
ひらひらと国木田に手を振り知らんふりする太宰
「全く何故こんな奴が探偵社に······我が理想にはこんな······」
ぱっとヘッドフォンを取り上げる国木田
「おい太宰!仕事は如何した!」
国木田が怒鳴るが、しかし素早く耳を塞ぎ回避し、国木田からヘッドフォンを取り返す太宰
そして笑みを浮かべ云った
「天の掲示待ち」