第5章 或る爆弾
「(··············?)」
何時までも来ない衝撃にそっと目を開ける敦
目の前には太宰、猗憐、国木田、爆弾魔が、
「やれやれ······莫迦とは思っていたがこれほどとは」
「自殺愛好家の才能があるね彼は」
『はぁー吃驚したぁー!』
「へ?··········え?」
「ああーん兄様ぁ!大丈夫でしたかぁぁ!?」
「痛だっ!?いい痛い、痛いよナオミ折れる折れる···って云うか折れたァ!」
人質が爆弾魔に抱き着きギャーギャー騒いでいる
「···········へ?」
状況を把握出来ず思考が追い付かない敦
「小僧。恨むなら太宰を恨め。若しくは仕事斡旋人の選定を間違えた己を恨め。」
「そう云うことだよ敦君。つまりこれは一種の──入社試験だね。」
「入社········試験?」
「その通りだ」
響き渡る声と共に現れた和服姿の男性
《武装探偵社》社長
福沢諭吉ーーー能力名【人上人不造】
「社長」
国木田が一礼する
「しゃ 社長!?」
「そこの太宰めが「有能なる若者が居る」と云うゆえその魂の
真贋 試させて貰った。」
「君を推薦したのだけど如何せん君は区の災害指定猛獣だ。保護すべきか社内で揉めてね。」
あんぐりと口を開く敦
「で、社長の一声でこうなった と」
「で社長······結果は?」
福沢は敦を見やり目を閉じ
「太宰に一任する」
「··········」
「合格だってさ」
太宰に声を掛けられ我に返る敦
「つ つまり······?僕に斡旋する仕事って云うのは此処の······?」
クス
「『武装探偵社へようこそ』」