第5章 或る爆弾
「や やややややめなさーい!親御さんが泣いてるよ!」
「な 何だアンタっ」
(ひいい怖い!怖い!)
───数分前
「社員が行けば犯人を刺激する」
『と、なれば〜!』
「無関係で面の割れてない君が行くしかない」
「むむ無理ですよ そんなの!第一どうやって」
「犯人の気を逸らせてくれれば後は我々がやるよ」
『──そうだ!落伍者の演技でもして気を引くのは如何かな!』
(落伍って······サラっと悪口·······?)
「『信用し給え/大丈夫! この程度の揉事武装探偵社にとっては朝飯前だよ』」
───こんな事があって現在
「ぼぼ僕は さ騒ぎをき聞きつけた一般市民ですっ!
いい生きてれば好いことあるよ!」
「誰だか知らないが無責任に云うな!みんな死ねば良いンだ!」
「ぼ 僕なんか孤児で家族も友達も居なくてこの前その院さえ追い出されて 行くあても伝手も無いんだ!」
「え······いや それは」
敦の説得と云う猛攻を受け強ばる爆弾魔
「害獣に変身しちゃうらしくて軍警にバレたらたぶん縛り首だし
とりたてて特技も長所も無いし誰が見ても社会のゴミだけど
ヤケにならず生きてるんだ!だ だだだから」
「敦君 駄目人間の演技上手いなぁ·······」
『圧倒されちゃってるよ犯人·······』
「ね だから爆弾捨てて一緒に仕事探そう」
『ねぇ、立場逆転してない?なんか敦くんが悪者みたいだよ?』
「え!いやっ ボクは別にそういうのでは」
あまりの駄目人間振りに引くどころか怯み始める爆弾魔
「(今だ)」
隙を見て国木田に合図を送る太宰
「手帳の頁を消費うからムダ撃ちは厭なんだがな······!」
「【独歩吟客】」
手帳を取り出し素早くペンを滑らせ──
ビリッ
〚 鉄線銃 〛