第4章 人生万事塞翁が虎
「『現身に飢獣を降ろす月下の能力者──』」
オオォォォォオオ
太宰と猗憐の前に現す姿は──
『白虎······。』
ドオン
オオォォォォオオ
バキィッ
虎の猛攻を躱す二人
「こりゃ凄い力だ。人の首くらい簡単に圧し折れる」
ドッ
ズザ ザザ ザ
トン
「おっと」
端に追いやられ壁に踵、手をつく太宰
太宰を正面に捕える虎
タンッ
「獣に喰い殺される最後というのも中々悪くはないが」
「君では私を殺せない」
【人間失格】
虎の額に触れた指先から光が放たれる
「私の能力は──あらゆる他の能力を触れただけで無効化する。」
光に包まれ元の姿に戻る敦
ボスッ
「··········」
「男と抱き合う趣味はない」
ぱっと離す太宰
ビタンッと倒れる敦
『ああ!可哀想!』
そう云い乍ら敦に近寄り膝枕する猗憐
「ああー!狡ーい!」
地団駄を踏む太宰に構わず敦の頭を撫でる
そんな猗憐に太宰が云う
「いつ気付いたの。」
『んー?初めから?かな。』
「··········。」
『ふっふっふっ♪何故なら私だもの!』
「······聞いた私が馬鹿だったね。」