第4章 人生万事塞翁が虎
「あいつ僕を追って街まで降りてきたんだ!
空腹で頭は朦朧とするしどこをどう逃げたのか」
「それ いつの話?」
「院を出たのが2週間前
川であいつを見たのが──4日前」
「確かに虎の被害は2週間前からこっちに集中している。
それに4日前に鶴見川で虎の目撃証言もある。」
太宰は少し沈黙し、そして云った
「敦君これから暇?」
ゾッ
「······猛烈に嫌な予感がするのですが···」
「君が«人食い虎»に狙われてるなら好都合だよね」
「虎探しを 手伝ってくれないかな」
「い、いい 嫌ですよ!
それってつまり«餌»じゃないですか!誰がそんな」
「報酬出るよ」
ピクッ
(···報酬)
太宰はペンを走らせソレを国木田に渡す
「国木田君は社に戻ってこの紙を社長に」
「おい、二人で行く気か?まずは情報の裏を取って──」
「いいから。あと私の愛しい人にも着いてきてもらうから♡ね♡」
そう云い猗憐に目配せする太宰
『はあ!?私今日非番!分かる!?
ひ・ば・ん!』
「あ、あの〜、ちなみに報酬はいかほど?」
ピラッ
「こんくらい」
太宰の見せた紙にあった金額を見て──
敦は目を見開き停止した──
『待って!私の意思は!?』
──店内に猗憐の声が木霊した