第4章 人生万事塞翁が虎
ガツ ガツ
と茶漬けを貪るように食べている敦。
空になった椀を数えながらあんぐりと口を開く猗憐
「おい二人共、早く仕事に戻るぞ。」
『凄い···掃除機みたい···。』
「くぅち、開いてるよ?」
猗憐の下唇に人差し指を当て悪戯に笑む太宰。
「·····ごめん。止めるから睨まないで···。」
『それにしても!美味しそ〜に食べるねぇ。
可愛い···』
「無視をするな!ったく、仕事中に「良い川だね」とか云いながら川に飛び込む奴がいるか。おかげで見ろ、予定が大幅に遅れてしまった。」
「国木田君は予定表が好きだねぇ」
バンッ
「これは予定表では無い!!理想だ!!我が人生の道標だ。そしてこれには、〚仕事の相方が自殺嗜癖〛とは書いていない!」
「ぬんむいえおむんぐむぐ?」
茶漬けを頬張り乍ら問う敦
(ほうほう、分からん。)
「五月蝿い。出費計画の頁にも〚俺の金で小僧が茶漬けをしこたま食う〛とは書いていない。」
「んぐむぬ?」
「だから仕事だ!!俺と太宰は軍警察の以来で猛獣退治を──」
「『君たちなんで会話できてるの?』」
─ ─ ─
「はー、食った!もう茶漬けは十年見たくない!」
「お前·······」
机には空になった椀の山ができていた
「いや、ほんっとーに助かりました!
孤児院を追い出され横浜に出てきてから食べるものも寝るところもなく······あわや斃死かと。」
「ふうん。君 施設の出かい?」
「出というか······追い出されたのです。
経営不振だとか、事業縮小だとかで。」
敦の言葉に満足そうに微笑んだ猗憐
「それは薄情な施設もあったものだね。」
そんな猗憐に気付き目を合わせた後、
相槌を打つ太宰