第4章 人生万事塞翁が虎
・・・・・。
プッ
あっはっはっは!
敦の言葉に二人は呆気にとられたうち勢いよく吹き出した
「餓死寸前の少年が茶漬けを所望か!」
『良いと思う!国木田くんに三十杯くらい奢ってもらおう!』
「三十杯でも五十杯でも幾らでも奢らせよう」
「俺の金で太っ腹になるな、太宰!猗憐!」
「太宰?」
「ああ、私の名だよ、太宰──太宰治だ。」
__風が吹く
__砂色の外套がはためいた
***
〘移動中の小噺〙
「ねぇ、国木田君に名前呼ばれた時、君の時だけ風で聴き取れなかったのだけれど···」
『個人情報』
「機嫌悪い?」
『話してる最中に誰かさんが居ないとか云うから』
「···ごめん。」
「どうしたんですか?」
『ううん!何でもないよー?』
『ま、結果オーライかな?』
「どういう事」
ニッコォ
(煽ってるんだろうけど、···可愛い)
諦めた太宰であった。