第4章 触手*
真っ暗な牢獄の中で、物音ひとつすら立てられない。
私の居場所が知られれば、紛うことなく穢される。
恐怖でがたがた震えながら息を殺していると、ぐちぐち……と触手が移動している音が聞こえた。
こないで、お願い、来ないでぇ……っ!
そんな願いも虚しく、ひた……っと震える私の足に吸盤状の触腕が張り付いた。
真っ暗闇に、ただよう水草の匂いと甘い匂い。
「いやぁ!はなしてっ離して!
やめて、やだ、何でもするから、お願いっ穢さないで……!」
異端は言葉を解さないことを知っていても、恐怖で腰が抜けて私は悲鳴を上げた。
窓はもう、触手が端から端まで詰められて光を奪っている。
私は泣きじゃくりながら叫ぶけど、触手はそんな私をあざ笑うかのように触腕を太腿に巻きつけた。
冷たくて湿った吸盤に肌を吸われて、力尽くで足を開かせられる。
いやよ、いや!うそでしょう?
水っぽい匂いと甘い匂いに脳をやられ、私の足が大きくM字に開いてしまった。
「あ……っ!!あぁ……いやぁ……!」
その勢いのまま、背後の寝台に組み敷かれる。
床にへたり込んでいたのが災いし、冷めた石の床に尻をついて全体重が寝台へ預けられた。
秘部であり、これから一方的に愛と欲を注がれるだけの急所を思いきり晒すような体勢にさせられる。
ああ……、ああ…………。
「いやぁぁん……」
今まで快楽を耐えるためにシーツや服を掴んでいたのに、床に組み敷かれて背中がベッドに押し付けられている今……掴めるものが何もない。
湿った空気が塔を満たし、異端による官能的な蹂躙がはじまった。