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捕らえた蝶【R18】

第5章 洗礼





「っ……、出たよ……」

レグルが取り出して見せたのは、小ぶりなバナナを思わせるくらいの大きさの触手だった。

あんなに大きなものが、一晩私の中にいたの……?
ぞくっと背筋に寒気が走った。

私はバスタオルを愛液でしとどに濡らしながら目を閉じる。
孕ませられて、産んでしまった。

その時、先ほどまではぼぅっとしていたのに、急にハッと覚醒してレグルに言う。

「その触手は、私から神性を与えられています……!
人では殺せませんっ!」

「ああ、そうだね。だからこの剣は特注品なんだ。
……見なくていいよ、目を閉じていて」

レグルの言葉どおりに……ミシェルはギュッと目を瞑った。
ふさげなかった耳に届く、ぐしゃっという切断音。

そして袋か何かに入れる音と、汚れた剣を拭いて鞘に納めるぱちんという音。

一通りの『後処理』が終わったのか、「もういいよ」と言われた。

私の身体にふわっとタオルがかけられる。

「さ、このままシャワーを浴びておいで。
俺は部屋の片付けをしておくから」

「本当に……ごめんなさい……」

「ありがとうでいいんだよ、ミシェル」

部屋の片付け……昨日の惨状はそのまま残っている。

レグルは仕事だと言うけど、こんなことまでしなきゃならないなんて。
私……好きな人にすら、嫌なことばかり押しつけて。

聖処女と塔の下の国から崇められて、真実を知る人には犯されて。

何のためにいるのだろう……
母は夢魔に魅入られ、災いを国に落とさないよう契約しここに閉じ込められていた。
そしてその夢魔との子……私を産んだ。

私は未だに神にも悪魔にも見初められず、『生贄』の機能を果たしていない。

私は、私は––––……。






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