第2章 真昼
「……で、お前どうした」
「どうしたと言いますと?」
赤司くんの目が痛い。
正確には視線が。
とぼけた私を、なんとも言えぬ顔で見ている。
いやいや、彼に事情なんて話せるわけないですよ。
「こんなところで、なにしてた」
「か、買い物です」
無謀な誤魔化しに、赤司くんの猜疑(サイギ)深い表情は解かれない。
この人にはなんでもわかっちゃうかもしれないですね。
だったら、今一番会ってはいけない人物でしたか。
「荷物もなしの手ぶらか。見たところ、財布を持ってるように見えない
それに、僕のことをまるで覚えていたようで、僕に気付かれまいと目を逸らしたよね」