第6章 触り心地
「真珠」
「……はい?」
あれ。
「え………あの、赤司く…」
「どうかしたのか、“真珠”」
悪戯そうに微笑む赤司くん、
今、私の名前を………
「あの……なんで私の名前…」
真珠って、呼んだんですか
「嫌?」
「い、いえいえ………」
嫌ではないけど、驚いた。
なんだか、何にも言えないような気持ちが………。
「真珠」
「そ、そんな何回も呼ばなくていいです!」
ゲームセンターの真ん中で、
いろんな音がおり混ざるこの空間で
私を呼ぶ、赤司くんの声ははっきり聞こえたんです。
こんなに、自分の名前を呼ばなくて恥ずかしかったのははじめてだ
こんなに、くすぐったい気持ちになるなんて
はじめてだ…。