第6章 触り心地
「とにかく、真昼になにかおもちゃもどきをあげたほうがよさそうですね」
「もどき、ね」
もどき、
じゃなくて、本当におもちゃが欲しいんですが。
「真昼、何が欲しいんですか?」
と、聞いてみたものの、今の今まで私たちに声すらを聞かせてくれなかった真昼。
答えてくれるわけなくて、ただ聞いた私の目をじっと見つめ返してきた。
(………どうしてしゃべってくれないんでしょうか…)
「三歳児って、言葉をまだ覚えていない時期なのか?」
赤司くんも、真昼を抱きながら心配そう。
「いえ、高度な会話、コミュニケーション能力は乏しくても
すこしくらいなら言葉を覚えているはずですが………」
ということは、真昼は故意で言葉を話さない。
「私、認められてないんですねー…」
自虐的になってしまう
着いてきたときには、すごく嬉しかったんですが。
誘拐らしきことをしているのは確かですが。
「最低でも“僕たち”共に認められていないようだね」