• テキストサイズ

ベールは裂けない *イケメン戦国*

第1章 一



荷物を置いて座布団に座ると、お爺ちゃんはゆったりとした動作でお茶を淹れてくれた。


「…粗茶ですじゃ…」

「ぁ、ありがとうございます」


お礼を伝えると、ニコニコしたままそっと頭を下げた。よっこいしょ…と、正座をしたお爺ちゃんは、さっきよりさらに小さくなって、ゆったりな仕草も相まってすごく可愛らしい。


「婆も息災か?」

「お陰さまで、耳はほんのちぃと聞こえなくなっとりますが、まだまだぴんしゃんしとりますわい」


お爺ちゃんは、拳から人差し指と親指を跳ね出して、小さい何かを摘まむような仕草をしながら、私がまだ見ぬお婆ちゃんの現状を政宗に話した。


「なら良い。あとで顔を見に行く」

「そりゃぁ、ありがたや、ありがたや」


今度は小さく音を立てて手を合わせ、スルリスルリ擦り合わせながら、政宗を拝むように背中を丸める。


いや、可愛らしいな………ッッ!!!


見ていて、お話しをしていて、すごく新鮮で和やかな気持ちになるって、今まであったかなと思うくらい、愛しい時間が過ぎていく。


「お仕度はどうされますじゃ」

「前回と同じで頼む」

「はいはい」


よっこいしょ、と立ち上がりながら、婆さまも喜びますわい、どうぞごゆっくり、と言って、ゆったりゆったり部屋から出ていった。
/ 25ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp