第1章 一
その星を見つけられた政宗に、500年後には見つけられない事を告げると、キョトンとした顔を向けられた。
「星なんて、いつもそこにあるもんじゃないのか?」
「ううん。いつか、燃え尽きちゃうの。今私たちが見てる光ってね、……未来から来た光なんだって」
「みらいから?」
7分後の光が地球に届くまでに、その星は消滅してるかもしれない、って昔のドラマで見た気がする。
詳しく説明したくても、価値観が違う時代の政宗が理解できるほど上手く説明できる自信がなくて、つい曖昧なことを話してしまう。
「うん。だから、今は見えてても明日には無くなってるかもしれないんだって。たぶん、佐助くんなら詳しいんだろうけど……」
「佐助が?」
「うん。戦国時代に飛ばされる前は、星とか、星のある場所の勉強たくさんしてたみたい」
「へぇ~」
両袖の口から腕を差し込みながら、星を見上げる政宗。砂粒をばら蒔いたような夜空に何を思ってるんだろう。
少年のような瞳で見上げている政宗から目が離せないでいると、不意に視線が降りてきて、真剣な顔つきでジッと見つめられる。
「………?」
「…お前は」
そのとき突然、乾いた拍子木を叩いたような音が聞こえた。それは余韻が引ききる前にもう一度鳴った。
火の用心の見廻り?……んなバカな。
「飯の支度が出来たみたいだな」
「え?」
「他に客がいないときは、あぁして鳴らすことになってるんだ」
冷めないうちに行くぞ、腹へっただろ、と手を繋いで目的の部屋まで連れていってくれた。