第1章 一
並んで座った日陰でお弁当を食べながら、美しいと思ったものを片っ端から挙げ、そのたびに政宗が意外そうにしながら聞いてくれる。
止まらない私は、私がいた時代と何が違うのか、どう違うのかまで話し始めていた。
「空気はこんなに綺麗じゃないよ。パッと見た感じは同じだけど…」
「見た目は同じ?」
確認するように辺りを見渡してから、腑に落ちない顔をして、何が違う?と聞かれる。
「う~ん………。説明しづらいけど、いろんなものを燃やしてるし、夏はどこにいても暑いし…」
「夏が暑いのは同じじゃないのか?」
「そうなんだけど、すっごく暑いんだよ。毎年と言っていいくらいお年寄りとか小さい子が亡くなってるし、私も熱中症で倒れたことあるし…」
「ねっちゅうしょう?」
「夏に起こる症状でね…」
細かく話しをしていると時間の経つのが早くて、座っていた木陰が実物より何倍も大きく成長している。
お昼はとっくに食べきってしまった。
「本当に何もかも違うんだな。どんな国になっているのか、どれだけ聞いても想像がつかない」
「んふふ。それは私も同じ。今まで、勉強はしてたけど、誰も実際に戦国時代を見たわけじゃないし、全然ピンと来てなかった。でも、こうして時を越えて政宗と出逢って、教科書じゃ分からなかったことがたくさん」
「そうか。…見てみたいな。お前が生きてきた時代も」
「そうだねぇ……」