第1章 一
…………
「ヤバい!!!!!」
今朝に限って目覚まし鳴らないとか何なん!!
「午前中コンペやぞ!!!!!」
ベッドの真下にある金魚の水槽へ落ちないように、枕元から足元へベッドを飛び越す。
そのまま穴へ落ちて、オフィスで政宗とコーヒータイム。
政宗は涼しい顔して、大丈夫か?と聞くけど、体がグワングワン揺れる。
「政宗…っ、たすけ……っ」
――――そこで、目が覚めた。
「大丈夫か?」
「……ぅん…」
うなされてたぞ、怖い夢見たのか?と、心配そうに覗き込まれて、ほとんど覚えていない夢のせいだと思った。
「矢場…とか、御膳十、金平夜糖(ごぜんじゅう、こんぺいやとう)…が何とかって……」
「……やば?…こんぺい、やとう?」
「覚えがないのか?」
「………うん……」
でも寝てるとき、懐かしい気がしたのは何でだろう……。
いくら思い出そうとしても、そこはもうまっさらで、何も思い当たらない。
結局、寝苦しかったんだと決着をつけて、水を飲んでからもう一度寝ることにした。