第1章 一
カリッと香の物をかじると、角煮でコッテリだった口内がサッパリして、また角煮が欲しくなる。
今度はそこにご飯を頬張って、美味しい余韻をお味噌汁で胃に送る。
もうこれは、幸せでしかない………ッ!!
「よっぽど気に入ったみたいだな」
「え?」
「ずっと笑って食ってる」
見られてた……………
恥ずかしい…………っ
「これだけ旨そうに食ってくれたら、作りがいがある」
「…ぅ…ん……っ」
耳の先まで熱い……
きっと真っ赤になってる…と思う………
「で?」
「え?」
「出来たのか?着物」
「ぁ、うん、出来たよ!」
少し身を傾けて、私の後ろにある洋服に視線を送る。気になって仕方ないみたい。何か可愛い…。
「誕生日が待ち遠しいなんて初めてかもな」
「んふふ。…………見る?」
「………………………」
私の提案に、無意識で眉間にシワを寄せて長く悩んでいたけど、止めておく、約束だからな、と返ってきた。
「ん、分かった」
「明日、少し出掛けるぞ」
「どこ行くの?」
「秘密だ」
ご馳走さまでした、と手を合わせて夕飯が終わる。
湯浴みをして、政宗と同じ布団に包(くる)まって、暖かさと政宗の香りに包(つつ)まれると、すぐに睡魔がやって来る。
頬やオデコ、こめかみにキスされて、優しく頭を撫でてくれる手を感じながら、愛してると聞こえた気がした。