第1章 私の想い人R18
「一応俺は上忍だけど、男として自慢出来るほどにこっちの経験がある訳でもないから…
相手としては不足かもしれない、ごめんな
一応、俺なりにちゃんと勉強し直してこの修練に望んではいるんだけど、本当に嫌なことはしないから、ちゃんと言うんだよ」
そうして私の顔を優しい顔で覗き込む
私はカカシ先生の、この優しい顔が大好きだった
経験があまり無いと言いながら、先生はやっぱりこういうことにも慣れていて、自分よりずっと大人なんだと感じてしまう
「…俺は、5代目から愛弟子である君を、立派なくノ一に育てるように仰せつかった
忍びとしての全てを叩き込むには、僭越ながらこっちの方も俺がコントロールできるようにならなきゃいけない
指導が拙くて申し訳ないが……どうか我慢して受けて欲しい」
『そ、そんな!我慢なんて
私が……なかなか慣れないから
気を使わせてしまい、申し訳ありません』
私は、この指導はカカシ先生でなければ耐えられなかっただろう
だから5代目である綱手様に、無理を承知で直談判したのだ
くノ一の『色』の指導ではカカシ先生に、つかせて頂けないか、と
とは言え、まさか本当に5代目が願いを叶えてくれるとは思わなかった
密かに長い間思いを寄せていたカカシ先生と、修練とは言え女性として失う最初の経験を…という願いを遂げたかったのだ
実際のくノ一の任務を受ける前に、他の誰かを、受け入れる前に
だけどこれは完全なる私のワガママで、彼程優秀な上忍を、およそ一ヶ月もの間『色』の指導になど回してくれるはずがないと思っていた
くノ一修練の相手上忍になど
『色』の技術さえ持っていれば特別上人でも務まる指導だ。
戦力の配分としては、彼を他のSランク任務に回した方が断然効率がいいし、ましてや木の葉の上人はたけカカシと言えば上忍の中でも群を抜いた存在だ
指導を乞えるなんて、異例中の異例と言えるだろう
綱手様から明らかに特別な措置をしていただいたのだという意識はある