第5章 火影様の企み
「はぁ…
女のコイツにここまで言わせて、なっさけないのぅ、カカシ」
そう言う綱手様の声は、どこか優しい
「花に、ここまでの覚悟があるんじゃ
もういい加減、腹をくくれ」
「はは、ホント…情けないな…俺は
俺は…自分が結婚出来るような人間だとは…思ってなかった
心に常に…闇が、あった
…欠陥だらけの、人間だ
それでも…
…ホントに…
そんな俺で、いいのかい…?」
『未来なんて誰しも、何が起こるかなんて分かりません
どんな未来であろうと、貴方と共に歩める未来があるのであれば…
その先に何が待ち受けていようと、わたしには後悔をしない、覚悟があります』
「君との未来…俺だって、欲しいさ」
私達は互いに見つめ合い、無意識に手を取り合っていた
「ふむ…これは、いい夫婦になるな」
5代目綱手様のつぶやきに、視線を向けると、満面の笑みを浮かべた尊敬する火影から人生で最も誇らしい任務を授かることになる
「2人に任務だ!
近いうちに所帯を持ち、通常任務をこなす傍ら日夜仲良く子作りに励めっ!」
こ、子作りって…
「お前ら2人の優秀な遺伝子の結晶を、木の葉の里に残すのだ!!!
多ければ多いほどいい!!
はっはっはっはっは!!
さすれば里の未来も益々安泰じゃ!!」
5代目火影様の企みにまんまと乗せられて手のひらで転がされた私達は、ようやくお互いの気持ちに気付き、こうして手を取り合う事が出来た
『…綱手様には一生頭が上がらないですね』
「ああ、全くだね」
互いに視線を交わし、苦笑いする
ようやくつかむ事ができた愛おしい人とのこの絆を、私は一生離すことはないと心に誓うのだった
fin.