第5章 火影様の企み
「だから今更何を言っておる?!
何年も互いに知らずして思い合っていたお前らが、通じ合ったこの先、そう簡単に心変わりなどしようはずもあるまい
まだふらふらと風来坊の様な1人身の生活にしがみつくつもりか?カカシよ!」
「風来坊って…無茶苦茶だな」
「そうか、1人で決められぬのならば花!
お前に問おう、
カカシと所帯を持つことに、なんら異存はあるか?」
突然の質問に、流れでつい正直な答えが口をついて出てしまう
『あ、ありません!』
私の返答に、綱手様は満足そうな笑みを浮かべる。
「そうであろうのう」
異存など、あるはずもない
もしそうなれたら…夢のようだ
「ほ、本当?
花ちゃん」
『はい、もちろんです
…あ、でも…か、カカシさんの気持ちが、一番大事、と言うか…その…』
カカシさんも、私の答えにまるで虚をつかれたかのような顔をしている
「カカシよ!
ここまで聞いても、お前にはまだ覚悟はないか?
…家庭を持つという事に」
するとカカシさんが、突然真剣な顔になって居住まいを正すと、暫く考える間があった
「覚悟、か…
花ちゃんを、自分の手で…守り抜けたらと…共に歩んで行けたらと…
ずっと、そう…思っていました」
カカシさんが私に向き合って真摯な顔を見せる
「ただ…
俺に何かあった時に…悲しませるのは…
それは、不本意です
彼女にその悲しみを背負わせる覚悟は…今の…俺にはっ…」
『…っ…』