第10章 林間合宿前の一休み
夏休み1日目、俺は流れる世間のニュースを観ながら柔軟をしている
「ビィラン連合...」
そして奴らの事を考える
USJ事件、奴らはオールマイトを殺しにあそこまで来たのだ。
黒霧が言ってた台詞「何か変更でもあったのでしょうか」
(俺達の授業内容と担当教員を知ってた...よな
あの台詞は完全にそうだ)
“内通者”嫌な単語が頭をよぎる
(居てもおかしかないわな)
柔軟をやめ、今度は体幹を鍛える体制に入る
(もしそれが居たとしたら、林間合宿も危ないかもしれない。また消太兄が傷つくかもしれない)
消太兄が血を流していた、あの時の事を思い出す
怖い 痛い 治さなきゃ 死んだらどうしよう 犯人が許せない 殺してやる
色んな感情が入混ざってグチャグチャになった。その中には小さな殺意が浮かんでた。
でもその時は不安の方が大きくて飲み込めたけど
日に日に、アイツらが居なければ、存在しなければと暗い闇に引き摺られていく
そうなった感情はどす黒くてドロドロしている。
それは心からどんどん俺の体を支配していって俺を黒く染めあげる
エッジショットがくれた一言は間違いなく俺の心を救ったけど、それすらも飲み込まれてしまった
こうなると簡単には抜け出せない
自分が一番分かっている。分かっていてどうすることも出来ない
その後の保須事件も緑谷と死柄木弔の接触も
汚い感情を膨らませる悪の種でしかなかった。
(こんな汚いの見せられないよ)
だから、笑顔で隠して、テンションで誤魔化して、やり過ごす。汚い感情が溢れ出ないように。
「アイス、たーべよ」