第2章 出会い
ある日、彼と出かける待ち合わせ場所で何時間待っても彼は姿を見せない。
心配になって彼の住んでいる探偵社の寮まで、脚を運んだ。
ノックをしても返事はない。
空いていないと思っていても、ドアノブに手を掛ける。
そして、回すと
「空いてる....」
そう呟いて、「敦さん?」と呼びかけてドアを開ける。
蝶番の錆びた音の所為か、嫌な予感が脳を貫いて、冷や汗をかく。
すると、「駄目!!」と叫ぶ声が聞こえ、私は驚いて肩を震わせた。
「え…?」
よく判らないから、もう一足進む。
部屋の中は静かで、何か荒い息の音が聞こえる。
「敦さん...?」
もう一度彼の名前を呼ぶ。
「今、来たら....!!」
居間まで行くと、蹲っている彼の姿。
「敦さん!!」
私は急いで、彼の傍による。
苦しそうに息をしていて、顔が赤い。
「熱?大じょうぶ───」
云いかけた処で、視界が逆回転になった。
そして、目の前には敦さん。
私、押し倒されてる────?
「ごめん」
そう云われて唇を奪われた。