第4章 理性
ぼー…とした頭の中で、首領の部屋から出た。
長い廊下を歩きながら考える。
でも首領のおかげで自分の気持ちに気づいた。
自分の気持ちに気づいたけど、どうしたらいいのか分からない。
ポートマフィアが敦さんになにかするか決まっていないけど、やっぱり胸が苦しくなる。
頭の中は敦さんのことだらけだった。優しく微笑みかけている敦さんの顔が浮かび上がる。
『敦さん………』
私がそう口にしても、シーン…と静かな長い廊下。
目頭が熱くなる。無性に敦さんに会いたくなった。
会えない。声も聞けなくなるなんて、そんなの堪えれない。
『どうして……』
私は力なく壁にもたれた。
とりあえず、敦さんに連絡しよう。
そう決めたのは、何分後か分からない。
私はポケットから携帯電話を取り出した。
これが最期のやり取りになるかもしれない。
そう私は嫌なことばかり考え始めてしまった。