第4章 理性
「同年代だよね、彼と。2人で出かけるなんて年相応でいいじゃないか。それに息抜きは大事だしね」
やっぱり、バレている。
ぐるぐるとする頭の中で、1番に考えるのは敦さんのことだけだった。
「君は優秀なポートマフィアの一員だからね。欠けてほしくないのだよ」
私は首領の言葉を黙って聞く。いや、言葉が発せられない。
冷や汗が出てくる。
『…もう、しわけ…ございません……』
「謝ってほしいわけじゃないよ、ちゃん」
首領はそう言うけど、私は謝る。謝ることしか出来ない。
ポートマフィアが敦さんに危害を加えるなんて、嫌だ。
私のせいで最悪死に至るかもしれない。
もう会えなくなるかもしれない。
敵同士でこんな関係は許されないことなのに。
会えないってことを考えたら、ものすごく胸が苦しくなった。
「彼と会うのは控えた方がいいよ」
『え……』
私は首領の言葉に、口があいた。
首領は私の目を真っ直ぐ見ていて、真剣な目をしていた。
「自分がどんな人間か彼には伝えているのかい?」
こくりと小さく頷いた。
『ですが、私が芥川だって事は……』
敦さんとは何回も会っているけど、このことを言うのはまだ勇気が出ない。
「そう」
私が首領の問いかけに応えると、ニコと微笑んだ。
「知らない方がお互いとっていい最期だと思うよ」
『あ、あのっ、敦さんに何か──』
私の言葉を遮って、首領は言った。
少しだけ首領の声のトーンが変わった。
「あと君を呼んだのは、明日の任務についてだ」
それから首領が明日の任務について言うけど、首領の言葉が頭に入らない。