• テキストサイズ

【文豪ストレイドッグス】2人だけの関係

第4章 理性



「同年代だよね、彼と。2人で出かけるなんて年相応でいいじゃないか。それに息抜きは大事だしね」


やっぱり、バレている。


ぐるぐるとする頭の中で、1番に考えるのは敦さんのことだけだった。


「君は優秀なポートマフィアの一員だからね。欠けてほしくないのだよ」


私は首領の言葉を黙って聞く。いや、言葉が発せられない。


冷や汗が出てくる。


『…もう、しわけ…ございません……』


「謝ってほしいわけじゃないよ、ちゃん」


首領はそう言うけど、私は謝る。謝ることしか出来ない。


ポートマフィアが敦さんに危害を加えるなんて、嫌だ。


私のせいで最悪死に至るかもしれない。


もう会えなくなるかもしれない。


敵同士でこんな関係は許されないことなのに。


会えないってことを考えたら、ものすごく胸が苦しくなった。


「彼と会うのは控えた方がいいよ」


『え……』


私は首領の言葉に、口があいた。


首領は私の目を真っ直ぐ見ていて、真剣な目をしていた。


「自分がどんな人間か彼には伝えているのかい?」


こくりと小さく頷いた。


『ですが、私が芥川だって事は……』


敦さんとは何回も会っているけど、このことを言うのはまだ勇気が出ない。


「そう」


私が首領の問いかけに応えると、ニコと微笑んだ。


「知らない方がお互いとっていい最期だと思うよ」


『あ、あのっ、敦さんに何か──』


私の言葉を遮って、首領は言った。


少しだけ首領の声のトーンが変わった。


「あと君を呼んだのは、明日の任務についてだ」


それから首領が明日の任務について言うけど、首領の言葉が頭に入らない。






/ 35ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp