第4章 理性
マフィアのビルに戻って、首領の部屋に向かった。
ノックする前に深呼吸をする。
呼吸を整えるとノックをして『です』と声をかける。
「いいよ、入って」
首領の声がして、私はドアを開けた。
「やあ、待っていたよ。遅かったじゃないか」
『申し訳ありません……』
「少し聞きたいことがあって呼んだんだ」
なんだろう、と思いながら首領の言葉を待つ。
「虎少年についてだ。分かるよね?」
『……!!』
首領の言葉に私は驚いて息を止めた。
もしかして、敵関係である探偵社の敦さんと私が会っていることがバレたのだろうか。
今ここで敦さんとの関係を白状した方がいいのか悩んだ。
本当のことを言うと、二度と敦さんと会えなくなる。
ポートマフィア、首領を裏切る。これは死を意味する。
敦さんだけじゃない。兄さん、姉さんにも会えない。
この事がバレたら、きっと兄さんは私のことを許さないだろう。
そしたら私は死んでも死に切れない。