第3章 目覚めの約束
きっと、今から引き返して彼を探そうとしても彼はいないだろう。
でも、とその言葉が頭をよぎる。
私は敦さんの所に行くと決め、反対を向き走り始めた。
「敦さん...」
呼んでも返事は来ない彼の名前を呼ぶ。
あれは、小さな声で呟いた。
彼と同じ髪色。
彼を見つけれて嬉しさがこみ上げてくる。
「あ...」
でも、会いたい彼では無かった。
それでも、となかなか諦めないもう一人の私。
居るはずも無いって判ってる。
色んな所を探しても彼は見つからない。
「私、何やってるんだろ...」
諦めようとしたその時
「......居た」
もう間違えない。
彼の近くまで駆け寄る。
「ちょっと、来てください」
彼の手を掴んでそう云う。
「えっ、ちょっとちゃん!?」