第3章 目覚めの約束
「鏡花さんも久しぶりですね」
私がそう云うと彼女は身を構えた。
「大丈夫ですよ、連れ戻したりしないので」
「信用出来ない」
きっぱりそう云う。
「そうですか...」
前まではよく話す仲であったけれど、今はもう敵になったので心を入れ替えてるのか否か...
「仲、良さそうですね」
「あぁ、うん。マフィア達から狙われないように一緒の寮に住んでるんだ」
「貴女には関係ない。敦、この人に何も云わなくていい」
随分私も嫌われている。
「仕事中ですか」
「うん、今から探偵社に戻るところ」
「敦」
威圧されて敦は黙り込む。
私はため息を一つついて
「ごめんなさい。おじゃましましたね、じゃあ」
と云ってその場から離れた。
知らなかった。敦さんと鏡花さんがあんなに仲が良いなんて。しかも一緒に住んでるなんて…。
敦さんの手伝いは彼女がするのだろうか。
虎の発情期は凄いと、本で知った。
「それは、嫌だな...」
なんでこんな気持ちになるのか判らない。
でも、鏡花さんが真逆していたら、と考えてしまう。
また、身体が熱くなる。