第8章 捌
「そ、その羽織…炎柱の…貴様のような小娘がなぜ…!猗窩座様に…知ら…せ…」
『人を喰らい生き長らえる、お前達の様な下劣な生き物が炎柱と口走るな。』
の虚ろな瞳に吸い込まれるような不快感に消えゆく鬼も口を紡ぐしかなかった。
あれは本当に人間なのかと恐怖を覚えるほどに。
鬼の頸があった場所には塵しかない、何事も無かったようにその場を歩き襲われそうになった隊士の元へ向かう。
腰を抜かしている隊士が顔を上げそこにいたを見て目を見開いた。
隊「…?」
苗字を呼ばれの動きが止まる。
継子になってからというもの隠との関わりはあっても一般隊士とはあまり関わっていなかったからだ。
しかしこの隊士に見覚えがあった、少し考えて頭に浮かんだのは仲間を助けれず己の非力さに打ちひしがれていたあの頃のこと。
『…貴方はあの時助けてくれた村田さん?』
そうだよ!覚えててくれたのかと力なく笑う村田にも笑みを返した。
が手を差し出せば村田はその手を取り抜かしていた腰を上げ立ち上がる。
村「驚いたよ、あの頃と雰囲気から実力まで全く違うからさ。」
『あの時は助けて下さりありがとうございました。村田さんが助けてくれなかったら今頃私はあの鬼達の餌食になっていたでしょう。』
ぺこりと頭を下げるに村田は慌てて手を振る。
村田の方が先輩だが今や実力や階級では炎柱の継子であるの方が上になってしまったからだ。
村「お、おいっ頭を上げてくれ!って、タメ口じゃ良くないよな…礼を言われる程のことなんかしてないですよ、結局あの後は応援が来てくれたから助かったようなものでしたし…」
『…敬語って慣れないので是非タメ口でお願いします。村田さんの方が先輩ですし、階級とか私は気にしないので。』
そう言うと村田はそうか、ありがとうと笑ってくれた。