第8章 捌
炭治郎を送り届け任務へ向かう。
鎹鴉が頭上を飛び道案内をしてくれる。
の頭の中は師である杏寿郎を亡き者にした上弦ノ参の事でいっぱいだった。
柱の中でも強い方だった杏寿郎が破れた相手だ、もしかしたら自分でも到底適わぬ相手かもしれない。
全ての任務が終わったらひたすらに稽古しないといけない、呼吸をさらに極めて挑まなければすぐに殺られる。
例えこの命尽きようとも
私の手で息の根を______
鴉「着イタゾ、他ノ隊士ガ苦戦シテイル。」
『分かった。案内ありがとう、どこかに隠れていて。』
鎹鴉の言葉でハッと我に戻る、肩に止まった鎹鴉に礼を言い安全な場所に行くよう指示した。
足早に指定された所へと迎えば所々に隊士が横たわっている、気配としては十二鬼月ほどでは無い、だがすぐに倒せるような下級鬼だけではない。
一般隊士だけでは苦戦してしまう状況にあるようだ。
『炎の呼吸 壱ノ型 不知火』
地を蹴り鬼の間合いに詰めよる、刀のを横向きに握り返し下級鬼の頸を落としていく。
鬼は群れないはずなのに、中級鬼の周りには数匹の鬼がいる。
「うわぁっ!」
後方で叫び声が聞こえ、は即座に振り返り目を凝らして一点を見つめた。
よく見れば一人の隊士が鬼に囲まれている、不味いと思い呼吸を整え今一度壱ノ型の構えをする。
この方が距離を詰めるのは速いからだ。
『群れ雀のようにうじゃうじゃと…煩わしい、炎の呼吸 壱ノ型 不知火。』
「ぎゃあっ…お、お前はっ…」
バタバタと落ちていく鬼共の首の中で一匹の鬼だけを見て叫んでいた。
鬱陶しそうに光のない冷めた眼で見つめると視線が交わると、人間相手なのに喉から声が出そうになった。