第2章 弐
ポンッと肩に手の感触。
振り返るとそこには師範の姿があった。
『しは…』
ハッと我に返る。
己の弱さや不甲斐なさに
どれだけ打ちのめされようと
心を燃やして歯を食いしばって前を向け
師範に言われた言葉が頭を過った。
鍛錬で心が折れそうになり弱音を吐いた時に言われた言葉だった。
きっと師範のことだから竈門くん達にはもう伝えてるのでしょうね。やはりいつまで経っても貴方には適わないです。
『竈門くん、前を向こう。師範の事だから君の背を押す言葉は聞いているはず。辛いかもしれない、苦しいかもしれない、でもその想いを糧に私達は果たさなければいけないことがある。』
『ここで挫けたって鬼は待ってくれない、禰豆子ちゃんが人間に戻る道には近づけない。歩み続けるしかない。師範の死を無駄にしない為にも私達が前を向いて強くならなきゃいけない。』
彼だけにではなく、私にも言い聞かせるように言葉を繋げる。