第7章 漆
千「男性から女性へ簪を送る意味は、お前を守るとか一生を添い遂げるって意味が込められてるらしいですよ。」
その言葉を聞いた瞬間固まった杏寿郎を見て千寿郎は笑った。
が密かに兄に好意を寄せていたのはなんとなくだが分かっていた。
兄の前ではよく笑うし兄に褒められ撫でられたりしていると嬉しそうに頬を染めていたからだ。
そんな二人を見て何だかこちらまで照れくさくなった。
杏「よもや!そんな意味が込められているとは知らなかった!ただに似合うと思ってだな!!」
いつも堂々としている自分の兄が少しばかり動揺しているのを新鮮に思いながらおかしくなりクスクスと笑う。
良かったですねさん、兄上もきっと貴女と同じ気持ちでいらっしゃいますよ。
弟ながらにそんな兄と継子を微笑ましいと思う。
杏「むぅ…だがその意味を知ったとしても俺は渡す!守りたいと思ったのも一生を添い遂げたいと思ったのもが初めてだ!偶然ではあるが理にかなった贈り物だ!!」
千「さんも喜びますよ。」
杏「任務が終わったら渡そうと思う!千寿郎、それまでには言わないでおいてくれ!」
千「もちろん言いませんよ」
その言葉を聞くと、うむ!では行ってまいる!といつもの兄に戻りながら任務へと向かっていった兄上の背に向けて手を振った。