第7章 漆
そんなを微笑みながら眺める千寿郎は彼女の髪で揺れる簪に気がつく。
見覚えのある真っ赤な玉飾りが幾つか付いた簪だ。
どこで見たかと小首を傾げる、ふと杏寿郎が生前最後の任務に行く前に大切そうに持っていたものだと気づいた。
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杏「千寿郎、任務に行ってくる。父上を頼んだぞ。」
千「はい。お気をつけて兄上。」
チリン…
杏寿郎が任務へ向かおうと踵を返したと同時に、綺麗な音色が小さく響いた。
何事かと興味ありげに兄を見やると、これか?と懐から1つの簪を取りだした。
炎を連想させるような綺麗な玉飾りが幾つも付いた簪だった。
男である杏寿郎がなぜそのような物を?と小首を傾げれば杏寿郎の視線は簪へと落ち、愛しげに笑った。
杏「これは町で見つけてな、一目惚れだった。に似合うだろうと思って買ったんだ!」
千「さんに、ですか?」
うむ!と満足気に言う杏寿郎に千寿郎はあることに気がつく。
兄上は男性が女性に簪を送る意味を知っているのかな?
もしかして兄上はさんのこと…?
千「兄上は男性から女性に簪を送る意味をご存知ですか?」
千寿郎の好奇心が勝ってしまい思わず聞いてしまったがその言葉に杏寿郎は、はて?と小首を傾げて弟を見つめた。
あ、やっぱりご存知なかったんですね…(苦笑)