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夢幻

第7章 漆







炭「ずっと考えていました。だけどそんな都合のいい方法はない。近道なんてなかった。足掻くしかない。今の自分ができる精一杯で前に進む。どんなに苦しくても、悔しくても。そして俺は杏寿郎さんのような強い柱に…」





ギュッと拳を握ったまま話し終えた炭治郎に涙を浮かべながら微笑む千寿郎が口を開く。





千「兄にはさんが来るまで継子がいませんでした。本当なら私が継子となり柱の控えとして実績を積まなければならなかった。でも私の日輪刀は色が変わりませんでした。」





も千寿郎の話を深く聞くのは初めてであった為、俯きながら千寿郎の話に耳を傾けた。
千寿郎もまた炭治郎と同じように己の力に苦しみ、悔やんでいる。





千「ある程度の剣術を身につけないと日輪刀の色は変わらないものですが、どれだけ稽古をつけてもらっても私はダメだった。」





ポッ…ポタ…




ギュッと握りしめた拳に千寿郎の涙が落ちる。
悔しそうに、それでも笑いながら炭治郎の話を聞いた千寿郎は意を決したように話した。





千「剣士になるのは諦めます。今ではさんもいますし、煉獄家としての継承は途絶えたとしても、炎柱としての継承が途絶えることはないと思いますから。それ以外の形で人の役に立てることをします。それでも兄はきっと許してくれる…。」





『千寿郎くん…』





は千寿郎の隣に腰を下ろし、そっと背中を摩った。





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