第6章 陸
千寿郎から湿布とガーゼを貰い愼寿郎に殴られた怪我の処置を終えて熱いお茶を啜った。
ビリッとした痛みが口内を襲ったが、今のには気にならなかった。
ホッと一息ついて炭治郎に向き合う。
『さて、竈門くん?』
炭「は、はい!!」
が炭治郎の名を呼べば項垂れていた体がシャキンと背筋を伸ばす形になり、はクスリと笑った。
怒られると思っていたのだろう、最初こそは少しばかり小言を言おうと思っていたが反省しているようだし、と思いやめることにした。
『怪我をして蝶屋敷にいるはずの君がどうしてここにいるのかな、って聞こうと思ったけれど何か事情がありそうだね。』
図星だったのか口をモゴモゴさせながらポツリと開いた口から零れたのは謝罪だった。
炭「そうなんです、けどまず先に千寿郎くん。ごめんねお父さんに頭突いちゃって…。」
申し訳なさそうに千寿郎に頭を下げる炭治郎に少し驚いた千寿郎は寂しそうに笑いながら頭を下げた。
千「ありがとうございます。すっきりしました、兄を悪く言われても僕は口答えすら出来なかった。兄はどのような最後だったでしょうか。」
そう言いながら杏寿郎の最後の姿を聞く千寿郎の瞳には涙が浮かんでいた。