第3章 跳ね駒【大俱利伽羅】
落馬した際に打撲はあったものの、受け身練習のお陰か、大した怪我もなかった。
しかし、強烈なトラウマを植え付けられたのか、もう嫌と食堂で不貞腐れていた。
そんな彩鴇を太鼓鐘が励ます。
「落ち込むなって、あんな大ジャンプができるんだから、主も見込みがあると思うぜ?」
「好きで柵を飛び越えたわけじゃないもん……」
落馬の打撲と日々の練習の筋肉痛で全身が痛い。この調子では先が思いやられる。
「慣れてくると流鏑馬とかもできるようになるぜ」
「ちょ、馬は軽車両扱いだよ?自動運転機能も付いてないのに、両手放しなんて……正気の沙汰とは思えない!」
「でも槍、薙刀連中は馬に乗って戦うときはいつも両手放しだぞ」
派手でいいよな!と笑う太鼓鐘の様子に彩鴇は絶句である。
結局、たった1カ月の練習ではどうにもならないことは明白なので、彩鴇は後藤に謝ることにした。
「後藤くん、ごめんね。馬で遠乗りはちょっと勘弁してください」
「いいって、大倶利伽羅さんも大将の練習、ありがとな」
「……別に」