第15章 帰省後のひと騒動【山姥切長義、前田藤四郎他】
「僕らが見た式神以外にも、複数の式神を使って本丸の調査をしていたようです」
考察を進めていると、前田が戻ってきた。
特に前田と太郎は、複数の式神が動いていたところを見ているので、現場の検分を含めて、本丸結界に綻びがないかをこんのすけと確認していたのだ。
その調査結果に物申したのは彩鴇だ。
「式神が式神を使うって何なのよ?擬態するならもっとちゃんとやりなさいよ!そして私の日々の苦労を思い知れーっ!」
式神に霊力の質が劣ったどころか、彩鴇にはできない式神の行使まで、これは擬態する気があったのかと問い詰めたくなる。
「君の霊力まで真似したら、そもそも本丸への侵入なんて芸当はできないんじゃないか」
彩鴇の叫びも虚しく、長義の冷静な分析を突きつけられた。
「それより君の不在が敵側に判明していたことの方が問題だろう。敵が本丸ではなく、現世にいた君を直接狙う可能性だって十分あったんだぞ」
帰省前には護衛はいらないと拒否していたのだ。
もし敵が彩鴇を狙っていたら、どうなっていたか分からない。
「現世の私を狙ったかは怪しいわよ。わざわざ擬態しても本人とかち合えば意味がないもの」
式神よりも劣ったという事実に落ち込みはしたが、そこはそれ、文句を言って差が埋まるわけではない。
考えるべきはちゃんと考え、分析する方が建設的だ。