第15章 帰省後のひと騒動【山姥切長義、前田藤四郎他】
「こんのすけ、まずは落ち着いてくれ」
長義が間に入り、こんのすけをなだめる。
「主の偽者がここに侵入したんだ。おそらくその偽者が君を封印したんだと思う。主は先程現世から帰ってきて、ずっと俺と一緒だったからね。怪しいことはしていなかったよ」
彩鴇がやったのではないと断言する。
「に、偽者ですか?!どのように侵入したのでしょうか?いえ、その前にその偽者は今どこに?」
「俺が門前で切り捨てた。式神だったみたいで、残骸はそこに残っているよ」
「式神があのような高度な封印術を使うとは、にわかには信じられませんが……」
こんのすけの言葉に小さく彩鴇が反応する。
それにいち早く気づいたのは前田だった。
「お二人とも、その話は……」
いけない、今その話を蒸し返したら、彩鴇がヘソを曲げてしまう。
しかし、その声はこんのすけにも長義にも届かず、2人で話を進めてしまっている。
「式神が主さまの似姿になっていたことや、バイタルデータから見抜けなかったことも驚異です」
「残骸といえど、呪詛があると厄介だから、まだ門前に放置してあるんだ。一度精密解析してもらえるかい?」
「そうですね。そのような高度な式神であれば、何か仕込まれていても不思議ではありません。ご案内ください」
「……あの、主君、どうかお気を落とさず」
こんのすけと長義が部屋を出た後、前田が声をかける。
その声を聞いてか聞かずか、彩鴇はふらふらと机の前に座ったかと思いきやーー
「式神に負けた……」
ずぅんと机に沈んだ。