第15章 帰省後のひと騒動【山姥切長義、前田藤四郎他】
「ただいま〜」
彩鴇が現世から戻ってきた。
5日間ほどの滞在だったので、なんだか久しぶりな気がする。
出迎えたのは、陸奥守吉行だ。
「お!もんてきちょったか!現世はどうじゃった?」
「うん、やっぱり最先端技術に触れるって大事よね。こっちにいると、どうしても感覚が鈍っちゃって」
彩鴇は機械やらテクノロジーが大好きなのだ。
現世に帰省するたびに今回は最新式のヘッドアップディスプレイを見ただのAIが凄いことをやってのけだのと土産話が盛り上がる。
陸奥守も彩鴇の話を聞くのを毎回楽しみにしているのだ。
桑名江が来てからは農機具の見本市も見てきてほしいと頼まれることもしばしばで、こういう機具が発表されたと報告していたこともある。
「ちょっと待ってて、まずこんのすけに話があるから」
今の時間帯なら執務室にいるだろう。
「じゃあ、食堂で待っとるぜよー!」
陸奥守は執務室へ行く彩鴇の背中を見送る。
おあずけをくらってしまったが、秋田や博多も彩鴇の土産話が好きなので、食堂へ誘ってみるのもいいかもしれない。
「ほうじゃ、光忠にも何か軽く食べるもんを頼んでみるかのぉ!」
陸奥守は足取りも軽やかに食堂へ向かった。