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朝顔【刀剣乱舞】

第12章 SANIWA Blues【大包平、鶯丸他】




「日本刀の最高傑作たるこの俺の主なんだぞ、もっと自信を持て!」


「うぅ、おおかねひら、私みたいなダメ審神者の元に来てくれてありがとう……ヒック」

大包平の説教に感動した彩鴇は、酔いも相まった真っ赤な鼻をずびずびとすすっている。

「まだ卑屈を言うか!駄目審神者ではないと言っておろうが!!」

でも、と言いよどむ彩鴇に大包平の堪忍袋の緒は切れそうだ。

「これまで出陣した各時代の戦場、特殊任務や特命調査、達成できなかったものはあるのか?」

「……ないです」

「お前はそこまでできるのだ。嘆く必要などないだろう!」

他の本丸がどうかは知らないが、少なくとも大包平は、彩鴇に不満を感じたことはない。

「……わたしは、できる審神者……」

「そうだとも!」

うふふ、と笑みを零し、上機嫌になった彩鴇は大人しく水を飲み始めた。どうやら酒はもういいらしい。





「大包平さん、すごいですね!」

「俺は当然のことを言ったまでだ」

彩鴇が酔っ払ったときは、泣き疲れるまで延々と愚痴を聞かされるのだ。

それを止められる大包平に物吉は素直に感心する。



彩鴇が大人しくなったところで、大包平は飲み直そうと席を立ち上がりかけるが、鶯丸に軽く肩を叩かれた。


鶯丸の指した方に目を向けると、彩鴇が突っ伏している。
いつの間にか寝てしまったらしい。


「まだ主を部屋まで運ぶ大仕事が残っているぞ」

「俺がか?!」

「主を酔い潰した者の役目だからな」

「俺が酒を飲ませたわけではないぞ!」

大包平の言い分はもっともだ。
しかし、食卓で寝息を立てている彩鴇をこのままにできないのも事実である。



「まったく世話の焼ける……」

大包平はため息を吐きながら、自分の上着を彩鴇に羽織らせる。
ここから彩鴇の寝室まで、外に面した廊下を歩くので寒いのだ。

彩鴇もむにゃむにゃと言いながら、律儀に袖を通している。


「ほら、部屋まで行くぞ」

「……んぅ、おんぶがいーい」

「なんだと!?」

大包平が彩鴇を横抱きにしようとしたら、幼子のようにごねられた。



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