第12章 SANIWA Blues【大包平、鶯丸他】
「この前の演練なんて、本丸で式神を何体使役しているかって話になって、使ってませんって言ったら、『こいつ無能かよ』っていう目で見られたのよ!」
「あれはただ単に驚かれただけだと思いますよ」
隣に座っていた物吉貞宗がすかさずフォローするが、彩鴇の恨み節は止まらない。
「審神者としての練度はほぼ一緒だってのに、あからさまに!下に見られてたし!」
「でも、その後きちんと認識を改めていましたから、結果オーライです」
ちなみに、物吉もその時の演練に参加していたが、実際の試合ではその審神者の部隊をコテンパンに負かしたため、認識を改めざるを得なかったという方が正しい。
「別にひいきしてほしいわけじゃないの。正当な評価をしてほしいだけなのよぉ……」
「まだ皆さんは、主様の実力に気づいていないだけですよ。これからも努力を続けていって、気づかせてあげましょう。ファイトですよ!」
物吉はしくしくとべそをかく彩鴇を励ましている。
しかし、彩鴇のあまりの情けなさに耐えられない者がいた。
「ええい、黙って聞いていれば!」
大包平は自分の席から立ち上がると彩鴇の前に陣取り、泣いて愚痴をこぼす主人に指を突きつける。
「この体たらく、まったく嘆かわしい!」
涙目で見上げる彩鴇を正面から見据え、自分がいかに素晴らしい刀かという説教が始まった。