第11章 ○○しないと出られない部屋【千子村正】
それどころか音声のみだと生々しさが一段と増す。
喘ぎ声や吐息、衣擦れ、さらには口づけの水音まで聞こえてきて、彩鴇の頭はパニック寸前だ。
というか、なぜ自分と村正がこんな目に遭わなければならないのか。
「ふ、ふざけるのも大概にしなさいよっ!!!」
あまりの内容に恥ずかしさを通り越して、怒りが沸いてきた。
「もう容赦しないわ!こんな部屋を作った連中に、骨の髄まで後悔させてやるんだから!!」
手始めに結界術式の精密解析を行い、仕掛けられたタイミングから術者の痕跡の洗い出し、政府の管理ログから該当者のあぶり出し……
不気味な笑みを浮かべながら、復讐方法を呟いている。
「まあまあ、落ち着いてくだサイ」
もはや乱心しかけている彩鴇を村正がなだめた。
「そもそもここから出ないことには、復讐も何もできマセン」
「ぐぬぬ、思い出したくないことを……!」
村正から正論をつきつけられ、彩鴇はむくれてしまった。