第10章 初志【歌仙兼定、今剣】
〈霊力を確保するには……?〉
「霊力捻出のために、当面使わない施設は閉鎖しておくわね」
馬がいないので厩舎と練習場は当面閉鎖で問題ない。
大浴場もこの人数なら必要ないし、畑の面積も半分程度でいいだろう。
他には、と考え始めた彩鴇に今剣が物申す。
「おおきなおふろ、しめてしまうのですか?ぼくははいりたいです!」
「えーっと、じゃあ大浴場の代わりに道場を閉鎖するかな」
大浴場の閉鎖に反対する今剣に代替案を出す彩鴇だが、今度は歌仙から反対される。
「道場は僕らの鍛錬のためにも必要だろう」
「手合わせなら外でもできるじゃない」
しかし、手合わせをしない彩鴇が一方的に決めるのは良くないし、実際に出陣する彼らが必要だと言うからには、それを無碍にもできない。
「……しょうがない。私の寝室、それから使わない個室を全部閉鎖するわよ」
モニターに映した本丸の見取図に閉鎖場所を入力していく。
これだけ閉じれば、もう3、4口は鍛刀できるだろう。
「主さまはどこで休まれるのですか?」
「しばらくは執務室と兼用で使うわ。たぶん物はあまり置かないから、布団を敷く余裕くらいはあるでしょ」
こんのすけが慌てて口をはさむが、彩鴇はさっぱりと割り切る。
「それで主さまの身体が休まれば良いのですが……」
「私は構わないわよ。むしろ寝室から執務室の移動がなくなる分、時間短縮になるんじゃない?」