第9章 相互理解には程遠い【白山吉光、歌仙兼定】
今度は、こんのすけと蜂須賀虎徹に尋ねてみた。
「今に始まったことではないよ。それこそ、俺が来る前からあんな風だったらしいし」
白山からの質問に蜂須賀も苦笑する。
実際に彩鴇と歌仙は、言い争いが絶えない。
これは、周りから不仲と判断されてもおかしくないだろう。
「確かにお二方は、最初にこの本丸に来た時から揉めました……」
和風の調度品を揃えようと言う歌仙と、正座で事務仕事をするのは、拷問だと高価な事務用品を希望する彩鴇がぶつかったのだ。
結局畳が傷むということで、彩鴇の執務室の机を掘りごたつに改造して決着したが、現在に至るまで、2人の喧嘩は日常茶飯事だ。
ただ、こんのすけから見ると、単なる不仲とは違う気がする。
その相違を蜂須賀が補足した。
「お互いに信頼しているから、心置きなく意見をぶつけ合っているんだと思うよ」
「心置きなくなのか、容赦なくなのかは微妙なところですがね……」
「まぁ、これまで大きな問題は出ていないし、これからも大丈夫なんじゃないかな」
それは違う。
これまでに問題がないことと将来問題が出ないことは、同義ではない。
かくなる上は本人達に直談判し、態度を改めてもらうしかない。