第5章 平凡の難しさ【次郎太刀】
「あーもう、腹立つ!どうせお役人は『お前には審神者としての価値がないんだぜ』ってほくそ笑んでいるのよ」
「そこまで卑屈に捉えなさんなって。別に『可』が連続してたって、辞めさせられるわけじゃないんだろ?」
「そうね、たとえ『秀』から一気に『可』まで落ちたって解雇されることはないわ」
だが、ひとつだけ例外がある。
4段階の相対評価とは別に『戦力外』評価があるのだ。
これは戦績関係なく、健康状態の悪化や霊力保有量の減衰によって、審神者本人の生命に関わる場合に出される評価だ。
定期検査で『戦力外』が2回出ると審神者を解任される。
「霊力が強い人ほどこの職に向いてると言っていいわ。ただ、そういう人は生命活動にも影響を及ぼしていて、霊力を使いすぎて枯渇すると、高熱とか鼻血が出たり、ひどいときは失神、吐血、さらには寿命が縮むこともあるみたい」
まぁ、私には関係ないけどと肩をすくめる。
「アンタが霊力を使いすぎるとどうなるんだい?」
「猛烈におなかが空く、くらいね」
もともと体内の霊力量が少ないのだから、生命活動にもほとんど影響しないのだ。