第4章 遠い異国に想いを馳せる【乱藤四郎、厚藤四郎、五虎退他】
「太刀や打刀ならサーベル、短刀ならダガーってところかな」
サーベルは騎兵が装備した片刃の長剣で直刀から曲刀まで、刃渡りの長さも様々な種類がある。指や手を保護するためのガードと呼ばれる枠状あるいは半円形の大きな鍔があるのも特徴だ。
ダガーは刺す、投げる用途で使われた両刃の短剣だ。中世ヨーロッパではプレートアーマーを装備していたので、長剣でダメージを与えるのが難しく、敵を地面に倒して甲冑の隙間からこの短剣を突き刺していた。
簡単な説明と共にモニターに画像を出す。
「大太刀はツーハンデッドソードになると思うよ。名の通り両手で持たないと使えなかったらしいけど」
乱、厚、五虎退の3人は、モニターに出される西洋の刀剣の数々に目を輝かせる。
「へぇ、両刃が基本って感じだな」
「切るより、刺すことがメインだったみたいだからね。レイピアっていう極端に細い長剣もあるし」
かつて西洋で使われた剣の姿を見て、甲冑を着た偉丈夫だろうとか、英語やドイツ語を話すのではと次々と画像を切り替えながら、盛り上がっている。
「と、虎くんみたいな動物を連れた方もいるんでしょうか?」
「竜殺しの剣なら、ドラゴンが出てくるかもしれないな!」
さすがにそれは神話や伝説級の刀剣になってしまう。
「あれ?画面が止まっちゃった」
「そこまでたくさん画像を出してたら、そうなるよ」
画像の処理に時間がかかり、一時的に画面がフリーズしてしまう。
画面上のカーソルはある刀剣の名前を指していた。
「何だこれ、ソード、ブレイカー?」
画像の読み込みが完了し、モニターが切り替わる。
『ソードブレイカー』
剣を折るまたは叩き落とすための武器。
峰部分が櫛状になっており、その凹凸に敵の剣の刃をかませ、細身の剣であればテコの原理で折ることが可能な短剣である。
本丸に悲鳴が響き渡った。