第4章 遠い異国に想いを馳せる【乱藤四郎、厚藤四郎、五虎退他】
先日、特命調査を行った聚楽第で今まで見たことのなかった遡行軍が確認された。
ーゾーリンゲン友邦団ー
海外から援軍でも募るつもりなのか、その真意は分からない。
「むぅー、ぞー……んげん……」
「主さーん、何の夢を見てるのー?」
乱藤四郎がくすくすと笑いながら、彩鴇の肩を揺する。
「ハッ!寝てた……?」
彩鴇は弾かれたように身体を起こした。いつの間にか寝ていたらしい。
目の前のモニターにはデータ分析のための資料が展開されっぱなしだ。
「寝言も言ってたよ。なんて言ってたかな、ぞー……?」
「ゾーリンゲン?」
「それそれ!どういう意味なの?」
「ゾーリンゲンはドイツの都市の名前よ。刃物の町として知られているわ」
遠い異国の名前に乱は興味をそそられる。
「もし異国の刀剣男士がいたら、どんな姿なのかな?」
「海外の刀剣?……うーん、皆みたいに銘があるのかな。いや、そもそも付喪神って概念がなさそうだからなぁ」
「もう、そんな難しく考えなくていいよ!」
そもそも喚び出せるのかと考え込む彩鴇に乱はぷっくりと頬を膨らませる。
「ど、どうしたんですか?」
「乱、何騒いでるんだ?」
乱の声を聞いた五虎退と厚藤四郎が顔を覗かせる。
「主さんと異国の刀剣男士がもしいたら、どんか姿なんだろうって話してたんだよ」
「異国の、ですか?」
「でも主さんったら、そもそも異国に付喪神はいるのか?っていうところから考え出すから、そういうことじゃない!って言ってたの」
この主は細かいところを気にするのだ。
それを知っているので、厚も五虎退も肩をすくめる。
「いるかいないかじゃなくて、いると仮定したら、だろ?」
「異国の刀剣は、どんな形をしているんですか?」
なおも考え込んでいた彩鴇に厚が助け舟を出し、五虎退もそれに乗った。
彩鴇もようやく思考を切り替える。