第4章 遠い異国に想いを馳せる【乱藤四郎、厚藤四郎、五虎退他】
「ちょ、何それ、なんでそんな形してるの?!」
「なんでって、この櫛状の峰に相手の刃をかませて……」
「それ以上言うなっ!それを作った奴は鬼か悪魔だろ?!」
解説しようとした彩鴇を厚が勢いよく遮った。
五虎退にいたっては涙目になって固まっている。あまりの衝撃に言葉も出ない様子だ。
「主、いかがされたのですか!?」
弟達の悲鳴を聞きつけた一期一振が駆け込んでくる。
すぐにモニターの画像にも気づいた。
柄の付いた櫛のような形状。
背筋にぞわりと悪寒が走る。
「それは一体、何なのですか……?」
「えーと、ソードブレイカーっていう海外の短剣なんだけど……なんだか、怒ってる?」
「一刻も早く消してください!!」
本体の刀を持ってきていたら、即刻モニターを叩き斬りそうな剣幕に慌てて画像を消す。
「みんなのそんな顔初めて見たよ。生理的に受け付けないって感じかな」
短刀達はまだ青い顔をしているし、一期一振も顔を曇らせている。
おそらくだが、ソードブレイカーでは日本刀を折ることはできない。峰の凹凸に刃をかませた時に日本刀を振り切れば、ソードブレイカーの方が折れるだろう。櫛状の深い切れ込みは、ソードブレイカーにも無理がある形状なのだ。
しかし、刀剣男士にとって本体を折られることは死と同義である。それを連想させる形状は、やはり気持ちの良いものではないのだろう。
「そうだ!この画像、遡行軍にも効くんじゃない?ちょっと次の出陣のときに実験でも……」
「やめてください!」
「絶対嫌だ!!」
「断固はんたーいっ!」
「後生ですからやめてください……!」
彩鴇の閃きは瞬く間に猛反対を受けるのであった。