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イケメン戦国(MYNAME

第1章 戦国時代にて


森を抜けると城下町があり、人々が行き交っている中、2人の男女に目が止まる。男の方は武士だろうか腰元には刀が携えており、女は控え気味に微笑んでいる。

「…………っ」

一度目を閉じて左手に白く光る刃を突き立てて、2人の前に転がり出た。

女は驚いたのかまん丸に瞳を瞬かせながら、転がり出てきた葉っぱや土で汚れた女性を見つめた。隣にいる男は、何も言わずに女性を観察し始めた。

「家康さん、この人手当てしないと」
「あんた何言ってんの、こいつがもしも新たな間者だったらどうすんの」
「でも血がいっぱい出てるし……このままだったら。家康さん……」

不安げにうったえる声に家康は溜息を吐き出す。

「はあ、ほんとあんたは警戒心がない上、かなりのお人好しだよね」
「そっそれは……」
「仕方ないから俺の御殿で手当てする」
「ほんとですか? よかったあ」
「別にあんたのためじゃないから」
「はい」

嬉しそうに笑う彼女にふいっと目を逸らす。
そして、女性を軽々と背負ってみせた家康は、苦悶な表情を浮かべた。

「どうしたの? 家康さん」
「別になんでもない。ほら行くよ」
「……はい」


目を開くと見知らぬ天井が広がっており、ゆっくり体を起こす。腕に痛みが走り裾をめくり上げると包帯が巻かれており、なんとか上手くいったかと溜息を吐く。

「……うーん」

女が家康と言っていたことから、薄い黄土色の髪をした男は天下人の徳川家康だろう。自分が知っている徳川家康とはかなりちがうが、それは今問題視することではない。
天井を睨みつけながら考え込んでいると、襖がすっと開き誰かが入ってきた。
視線を襖に移すと、徳川家康の横でわたわたしていた女だ。即座によそ行きの笑顔を張り付かせお礼を述べる。

「もしかして貴女が私を助けてくれたのですか?」
「え、うん。まあ」

その彼女の口調に違和感を覚え、もっと情報を得るために質問を続けた。

「ここはどこでしょうか」
「え、ここは家康さんの御殿だけど」
「御殿? そう……」
「私、舞っていうの。貴女は?」
「申し遅れました、私は天月と申します」
「じゃあ、天月ちゃんだね」

ニコリと笑んだ舞に微笑み返す。

「よろしくお願いします舞さん」

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